後期高齢者における胃がん化学療法についての後方視的調査研究

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タイトル別名
  • A retrospective analysis of chemotherapy for gastric cancer in later-stage elderly patients
  • コウキ コウレイシャ ニ オケル イガン カガク リョウホウ ニ ツイテ ノ コウホウ シテキ チョウサ ケンキュウ

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説明

<p>目的:抗がん剤の進歩にもかかわらず,手術不能進行・再発胃がん患者の予後は不良である.後期高齢者は,併存疾患も多く,臓器予備能が低下しているために,抗がん剤の選択には,特に注意が必要となる.今回,化学療法を受けた胃がん患者を対象にして,生存期間に影響を与える因子について検討した.方法:2008年5月から2017年4月までの9年間に,名古屋記念病院で経口フッ化ピリミジン系抗がん剤の投与を受けた胃がん患者(N=130)のカルテを後ろ向きに調査した.Kaplan-Meier法で化学療法開始日からの生存期間を算出し,75歳未満と75歳以上で化学療法の成績を比較した.次に後期高齢者を対象に,生命予後に影響を与える因子について多変量解析(COX比例ハザード回帰)を用いて解析した.結果:抗がん剤治療を受けたstage 4胃がん患者は92例で,75歳未満(N=64)と75歳以上(N=28)の2群間で,化学療法の奏効率と化学療法開始からの生存期間を比較したところ,いずれにおいても有意差は見られなかった.年齢・性別・治療レジメンの違いは生存期間に関与しなかったが,レンチナン併用により有意に生存期間が延長した(488日[95%CI 369~586日]vs 215日[95%CI 127~484日],p=0.004;log-rank検定).後期高齢者において,多変量解析を用いて生存期間に対するハザード比を性別,日常生活動作,手段的日常生活動作あるいは老研式活動能力指標,プラチナ製剤・レンチナン併用の有無について調べたところ,老研式活動能力指標のみが独立した有意な結果を得た(ハザード比4.131[95%CI 1.516~11.250],p=0.006).結論:胃がん化学療法において,後期高齢者は予後を低下させるリスク因子とはならなかった.後期高齢者では,包括的老年学評価を行い,老研式活動能力指標を測定することが生命予後を予測するのに有用だった.</p>

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