5.高齢者肺炎の現状と新たな予防策

  • 大類 孝
    東北大学加齢医学研究所高齢者薬物治療開発寄付研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Current status of elderly pneumonia and its novel preventive strategies
  • 高齢者肺炎の現状と新たな予防策
  • コウレイシャ ハイエン ノ ゲンジョウ ト アラタ ナ ヨボウサク

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抄録

抗菌薬の開発が目覚ましい現在でも肺炎による入院および死亡者数は増加傾向にあり,厚生労働省の2011年度の疾患別死亡者数の報告によれば,肺炎はついに脳血管障害を抜いて第3位になり正に現代病の様相を呈している.また,近年のデータから肺炎で亡くなる方の約95%が65歳以上の高齢者で占められ,肺炎は高齢者の生命予後を規定する重要な疾患である.高齢者の肺炎の大部分が誤嚥性肺炎であると報告されている.誤嚥とは,雑菌を含む唾液,食物,まれに胃内容物を気道内に吸引することで,結果として生じる肺炎を誤嚥性肺炎という.その危険因子として最も重要なものは,脳血管障害および変性疾患に併発しやすい不顕性誤嚥である.不顕性誤嚥は,大脳基底核病変を有している人に多く認められる.降圧剤のACE阻害薬,ドーパミン作動薬のアマンタジン,抗血小板薬のシロスタゾール,漢方薬の半夏厚朴湯,胃運動改善薬のモサプリドなどの不顕性誤嚥の予防薬はハイリスク高齢患者において肺炎の予防効果を有する.また,高齢者肺炎の約6割を占める医療・介護関連肺炎(NHCAP)の起炎菌として肺炎球菌が重要であり,肺炎球菌ワクチンはNHCAPの抑制効果を有する.<br>

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