加齢と言語性記憶―検査語リストの構造化の影響―

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タイトル別名
  • Aging and verbal memory -an experimental study using structured and non-structured word lists-
  • カレイ ト ゲンゴセイ キオク : ケンサゴ リスト ノ コウゾウカ ノ エイキョウ

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抄録

<p>目的:言語性記憶機能を測定する代表的検査法として,一連の単語リストを聴覚的に呈示してその再生を求めるRey Auditory Verbal Learning Test(AVLT)とCalifornia Verbal Learning Test(CVLT)がある.CVLTでは,検査語リストが意味カテゴリーで構造化されており記憶方略の側面をも評価できるとされるが,両検査とも日本語の標準的検査語リストはなく,難度が異なるため検査成績を直接比較できない.本研究では,検査語の数と難度を一致させた検査語リストを作成し,それを若年者と高齢者の2群に実施することで,言語性記憶課題における加齢と検査語リストの構造化の影響を明らかにする.方法:AVLTに準じた非構造化(NS)課題とCVLTに準じた構造化(S)課題を作成し,健常の若年者(18歳~25歳)と高齢者(65歳~80歳),各40名に実施した.結果:高齢群は若年群より再生数が有意に少なく,一度再生された単語が干渉刺激によって失われる率が有意に高かった.また,高齢群は若年群に比べてNS課題よりもS課題で再生数が有意に多かった.結論:高齢者は言語性記憶が低下しており,基本的記憶能力の低い高齢者では,記憶方略が使いやすい構造化されたリストの利益を受けるものと考えた.本邦で初めて,単語リスト学習課題の標準的検査語リストを考案し,異なる年代における成績の標準値を示した.</p>

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