口腔ケア時の誤嚥予防の試み―口腔ケア用ジェルの新規開発―

  • 守谷 恵未
    国立長寿医療研究センター先端診療部歯科口腔外科 徳島大学大学院口腔科学教育部口腔保健学専攻
  • 松山 美和
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健学講座口腔機能管理学分野
  • 犬飼 順子
    愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科
  • 道脇 幸博
    武蔵野赤十字病院特殊歯科・口腔外科
  • 岩渕 博史
    神奈川歯科大学大学院歯学研究科顎顔面外科学講座
  • 小笠原 正
    松本歯科大学障害者歯科学講座
  • 松尾 浩一郎
    藤田保健衛生大学医学部・歯科
  • 角 保徳
    国立長寿医療研究センター歯科口腔先進医療開発センター

書誌事項

タイトル別名
  • A new oral care gel to prevent aspiration during oral care
  • コウコウ ケアジ ノ ゴエンヨボウ ノ ココロミ : コウコウ ケアヨウ ジェル ノ シンキ カイハツ

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抄録

<p>目的:口腔細菌は,誤嚥性肺炎を含めた全身の疾患と密接に関係していると考えられている.誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアが極めて重要であるが,その方法は施設や術者により様々であり,中には誤嚥のリスクを伴う口腔ケア方法も存在する.口腔ケア中の誤嚥性肺炎起炎菌を含む洗浄水の誤嚥のリスクを低下させるため,本研究では,水を使わない口腔ケアに必要かつ適正な物性を持つジェルを開発し,その物性およびプラークの除去,咽頭への流入しにくさについて評価・検討を行った.方法:ジェルの物性評価は,医療従事者31名を評価者とし,VASを用いた主観的物性評価と口腔内官能評価から,試作ジェル3種類(A~C)と市販の保湿ジェル3種類(D~F)を比較した.プラーク除去効果の評価は,健常者20名を対象とし,物性評価において最も評価が高かったジェルをジェル使用時,水道水を水使用時とし,歯科衛生士によるブラッシングにより評価を行った.評価はModified PCRを用い,ブラッシング前後のプラークの減少率を比較した.また,ブラッシング時の吸引回数をカウントし,咽頭への流入しにくさについてジェル使用時と水使用時における差を評価した.結果:物性評価において,試作ジェルBはその他5種類のジェルに比べ,有意に評価が高かった.プラークの除去効果において,Modified PCRの減少率はジェル使用時の方が水使用時よりも有意に高かった.また,吸引回数はジェル使用時の方が有意に少なかった.結論:新規に開発した試作品ジェルBは物性評価にて良好な結果を得た.さらにプラークの除去効果や咽頭への流入しにくさにて有効性を確認した.洗浄水ではなくジェルBを使用することにより口腔ケア時に流入しにくくなる可能性があるため,今後の臨床試験に期待したい.</p>

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参考文献 (6)*注記

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