認知症診療に対する態度に関する医師会会員へのアンケート調査―地域における認知症の診療体制の確立のために―

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タイトル別名
  • Attitudes of Japanese general practitioners towards referrals of demented patients
  • ニンチショウ シンリョウ ニ タイスル タイド ニ カンスル イシカイ カイイン エノ アンケート チョウサ チイキ ニ オケル ニンチショウ ノ シンリョウ タイセイ ノ カクリツ ノ タメニ

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抄録

目的 認知症診療において,専門医療機関とプライマリーケア医との連携が必要である.今回我々は,開業医が多くを占める医師会の会員に対して,認知症患者の紹介についての考え方についてのアンケート調査をおこなった.方法 認知症患者の専門医療機関である大学病院からの紹介への受け入れと専門医療機関への紹介の理由について名古屋市医師会のA会員全員(1,776名)に郵送によって送付し,回答はファックスで回収した.有効回答率は39.7%(701名)であった.結果 大学病院からの認知症患者の紹介については,40.5%の医師会員が「専門外のため」に紹介を希望しなかった.特に内科系を標榜していない医療機関の場合,68.8%の施設が専門外のために認知症患者の紹介を希望しなかった.しかしながら,内科系を標榜する会員に限った場合は,26.3%と有意に紹介を希望しない会員の比率が少なかった.内科系の会員のなかで,精神科,心療内科,神経内科などを標榜科にあげている会員とあげていない会員の間では,違いを認めなかった.複数回答で選択を求めた専門医療機関への認知症患者の紹介理由としては,「原因疾患の診断」,「治療方針の決定」を7割以上の医療機関があげた.また,「問題行動への対応」,「ご家族への予後や対応法についての説明」は,それぞれ,55.1%,57.4%と半分以上の医療機関が紹介したい理由としてあげた.一方で,「継続診療」を希望する医療機関が25%と比較的少なかった.結論 医師会のA会員へのアンケート調査によって,いわゆるプライマリーケア医は,認知症患者について,専門医療機関には診断,治療方針決定などの専門性を生かした役割を期待していることがわかった.しかしながら,専門医療機関側からの認知症患者の紹介についてはやや消極的であり,認知症診療や介護などについての研修の機会や専門医療機関のバックアップ体制の充実,認知症診療に対する医療経済的な支援が必要であると考えられた.<br>

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