骨髄腫の病態の多様性と予後

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タイトル別名
  • The Wide Variations of the Clinical Behavior and Prognosis in Multiple Myeloma.
  • コツズイシュ ノ ビョウタイ ノ タヨウセイ ト ヨゴ

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抄録

無症候性から劇症型まで,多発性骨髄腫(MM)の臨床経過はほかの造血系腫瘍に比して多彩である。腫瘍細胞の性状と貧血,高Ca血症,腎不全などの腫瘍の2次効果がMMの臨床経過と関係する。予後因子として年齢,貧血の程度,腫瘍細胞の形態,クレアチニン値,Ca値,Bence Jones蛋白,腫瘍細胞のLI%, β2MG値,核小体局在性J鎖,その他の研究室レベルの検査が含まれる。腫瘍細胞のLI%が生存期間のもっとも信頼できる予後因子である。予後不良の病型として,若年型,形質細胞性白血病,劇症型,LDH高値例,J鎖型,アミラーゼ産生型がある。経過中の付加的M成分の出現は末期あるいは進展期にあることを示し,κ型症例にλ型M成分がみられる。Bence Jones escapeは症期に応じてその意義を異にする。くすぶり型でのBence Jones escapeは定型MMへの進展の徴候とみられる。明確な予後判定基準の設定は正しい治療戦略の選択に必須である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 34 (4), 439-443, 1993

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (4)*注記

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