汎血球減少が自然回復した発作性夜間血色素尿症の女児例:末梢血球におけるGPI-anchor蛋白発現の経時的変化

書誌事項

タイトル別名
  • Spontaneous recovery from pancytopenia in a young female patient with paroxysmal nocturnal hemoglobinuria (PNH): changes in the GPI-anchor expression on peripheral blood cells
  • 症例 汎血球減少が自然回復した発作性夜間血色素尿症の女児例:末梢血球におけるGPI-anchor蛋白発現の経時的変化
  • ショウレイ ハンケッキュウ ゲンショウ ガ シゼン カイフク シタ ホッサセイ ヤカン ケッシキソ ニョウショウ ノ ジョジレイ マッショウ ケッキュウ ニ オケル GPI anchor タンパク ハツゲン ノ ケイジテキ ヘンカ

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抄録

発作性夜間血色素尿症(PNH)は,造血幹細胞レベルにおける後天性のPIG-A遺伝子変異によってGPI-anchor膜蛋白の発現が欠損して引き起こされる溶血性疾患で,しばしば造血不全を呈する。我々は汎血球減少が自然回復した女児例でPNHクローンの変化を解析した。症例は5歳時から血小板減少を認め,6歳時にはHam·Sugar water testは陰性であった。次第に汎血球減少へと移行して8歳時に溶血所見とHam test陽性からPNHと診断し,末梢血顆粒球でPIG-A遺伝子のexon 2にframe-shiftを検出した。診断後2年間で汎血球減少が自然回復し,以後4年にわたり末梢血所見は軽度の血小板減少を除いてほぼ正常を維持している。顆粒球と赤血球上のCD55とリンパ球上のCD48発現のflow cytometry解析では,診断後2年間はPNHクローンの減少を認めなかったが,その後の4年間で徐々にCD55陰性赤血球が減少傾向を示している。従って,PNHにおける汎血球減少の回復は,短期的にはPNHクローンの減少なしに起こりうることが示唆される。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 45 (3), 238-242, 2004

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (15)*注記

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