腫瘍崩壊症候群に伴う白血病細胞断片化による白血球数,血小板数の偽性高値

  • 萩野 剛史
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科
  • 海渡 健
    東京慈恵会医科大学附属病院 中央検査部
  • 浅井 治
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科
  • 土橋 史明
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科
  • 矢野 真吾
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科
  • 武井 豊
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科
  • 杉山 勝紀
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科
  • 齋藤 健
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科
  • 大川 豊
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科
  • 相羽 恵介
    東京慈恵会医科大学附属病院 臨床腫瘍部
  • 薄井 紀子
    東京慈恵会医科大学附属病院 血液・腫瘍内科

書誌事項

タイトル別名
  • Pseudoleukocytosis and pseudothrombocytosis caused by fragmentation of leukemic cells in tumor lysis syndrome
  • 症例報告 腫瘍崩壊症候群に伴う白血病細胞断片化による白血球数,血小板数の偽性高値
  • ショウレイ ホウコク シュヨウ ホウカイ ショウコウグン ニ トモナウ ハッケツビョウ サイボウ ダンペンカ ニ ヨル ハッケッキュウスウ ケッショウバンスウ ノ ギセイ コウチ

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説明

腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome: TLS)は急速な腫瘍の崩壊により様々な臓器障害をきたす予後不良な症候群である。我々はTLSにより白血病細胞が断片化され,白血球数ならびに血小板数が偽性高値を呈したALL症例を経験した。本症例では治療翌日にLDH 41,400 IU/l, K 8.4 mmol/lとなりTLSと診断された。同時に,白血球が8,400から42,600/μl, 血小板数が43,000から231,000/μlに急増し,末梢血液像では様々な大きさに断片化された白血球残骸を多数認めた。平均血小板容積は10.0から13.1 fl, 血小板分布幅は11.4から24.1%に増加し,スキャッタグラムでは小型白血球を,また粒度分布では大型血小板を検出していた。本症例での白血球数,血小板数の急激な増加は,治療薬により破壊された白血球断片を白血球あるいは血小板として測定したため引き起こされたものと考えられ,TLSとこれらデータとの興味深い関連が疑われた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 48 (12), 1559-1562, 2007

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (11)*注記

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