造血幹細胞移植後の急性膵炎:血清アミラーゼ値の上昇の頻度と成因について

書誌事項

タイトル別名
  • Acute pancreatitis following hematopoietic stem cell transplantation: prevalence and cause of pancreatic amylasemia
  • 臨床研究 造血幹細胞移植後の急性膵炎:血清アミラーゼ値の上昇の頻度と成因について
  • リンショウ ケンキュウ ゾウケツ カンサイボウ イショク ゴ ノ キュウセイ スイエン ケッセイ アミラーゼチ ノ ジョウショウ ノ ヒンド ト セイイン ニ ツイテ

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説明

造血幹細胞移植後の急性膵炎の頻度と成因を明らかにするため,1984年から2000年の移植例60例につき,膵型アミラーゼ値上昇の有無と臨床所見を後方視的に検討した。解析した57例中12例(21%)に膵型アミラーゼ値の上昇を認めた。臨床的に急性膵炎と診断されたのは3例(5%)で,潜在性の急性膵炎の存在が示唆された。12例のうち11例(92%)を同種移植例が占め,また非血縁者間移植例は7例(58%)であった。Grade III以上のGVHD重症例では,6例全例にアミラーゼ値の上昇を認め,急性膵炎発症におけるGVHDの関与が考えられた。臨床経過を検討すると,5例(42%)で上昇時にウイルス感染症を併発しており,発症に際しウイルス感染が何らかの役割をはたしていると考えられた。潜在性を含めると移植後の膵炎の発症は従来考えられたものより多く,その発症にはGVHDやウイルスの感染が関与していることが示唆された。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 43 (3), 176-182, 2002

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (16)*注記

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