ビタミンD<sub>3</sub>投与により骨髄細胞異形成の増悪にもかかわらず著明な血液学的改善を認めた不応性貧血

書誌事項

タイトル別名
  • Marked Hematologic Improvement Despite Deterioration of Marrow Cell Dysplasia in a Refractory Anemia Patient Treated with Vitamin D<sub>3</sub>

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説明

症例は69歳,男性。1996年11月12日汎血球減少症と著明な出血傾向のため,当院に緊急入院した。入院時の血算は白血球数2,800/μl, Hb 6.0 g/dl, 血小板数0.3万/μlであった。骨髄穿刺の結果,3系統の血球の異形成を認め,不応性貧血と診断された。輸血依存状態のまま退院した後,1997年6月より活性型ビタミンD3(カルシトリオール)の単独投与を開始したところ,1年半後にHb 9 g/dl以上,血小板数10万/μl前後まで上昇し,輸血依存状態から離脱した。しかし,ほぼ同時期の骨髄穿刺では,著明な赤芽球系の異形成の増悪と初診時にはなかった予後不良群の染色体異常(-7)を認めた。本症例はたとえ骨髄細胞の異形成と細胞遺伝学的異常の増悪が認められても,不応性貧血に対してはビタミンD3療法が有用であることを示唆するものである。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 40 (5), 408-413, 1999

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (14)*注記

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