白血病細胞の中枢神経系浸潤と白質脳症の鑑別にMR spectroscopyが有用であった急性リンパ性白血病

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タイトル別名
  • Discrimination of Leukoencephalopathy from Leukemic Cell Invasion by MR Spectroscopy in a Patient with Acute Lymphoblastic Leukemia

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説明

患者は58歳の男性で1992年11月発熱と関節痛を主訴に来院し,Ph1陽性のALL (L2)と診断された。Ad-VP療法でCRを獲得後,2回の地固め療法,Ara-C大量療法を施行したが,1993年9月髄液検査で白血病細胞の浸潤を認めた。MTX, Ara-C, PSLの髄注を8回施行し髄液中の白血病細胞消失後PBSCTを実施した。造血機能の回復は順調であったが,移植後,9日頃より異常行動,意識消失などが出現。白血病細胞の脳への浸潤を疑い1H-CSIによるMRSを施行した。MRSにおけるNAAとCholineのパターンから,前頭葉に白質脳症による高度の壊死と側脳室周囲に白血病細胞の浸潤を疑わせる所見を認めた。造影MRIでは側脳室周囲が造影された。CNS白血病の再発と同時に前頭葉の壊死を認めることから放射線照射は断念し経過観察としたが,骨髄再発を認め死亡した。病変部の代謝障害を捉えることのできるMRSは白質脳症と白血病細胞の浸潤との鑑別に有用と考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 40 (4), 305-310, 1999

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (11)*注記

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