原因不明の貧血として10年間経過観察したのち診断し得た脾臓辺縁帯リンパ腫

書誌事項

タイトル別名
  • Splenic marginal zone lymphoma uncovered after a 10-year follow up as anemia of unknown cause
  • 症例報告 第4回日本血液学会関東甲信越地方会 奨励賞 原因不明の貧血として10年間経過観察したのち診断し得た脾臓辺縁帯リンパ腫
  • ショウレイ ホウコク ダイ4カイ ニホン ケツエキ ガッカイ カントウ コウシンエツチホウカイ ショウレイショウ ゲンイン フメイ ノ ヒンケツ ト シテ 10ネンカン ケイカ カンサツ シタ ノチ シンダン シエタ ヒゾウ ヘンエンタイ リンパシュ

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抄録

<p>75歳男性。近医で貧血を指摘され,当院に初診。以降,骨髄穿刺を含めた精査が度々行われるも,貧血の原因は不明であり,その都度のCTでもリンパ節腫脹・脾腫は認めなかった。無症状であったが,定期的な経過観察を継続した。初診から10年経過し,全身倦怠感を自覚され,当院に再診。貧血の進行および脾腫を認めた。骨髄に短い絨毛を有する異常リンパ球を多数認め,免疫形質はCD5,CD10,CD23,cyclin D1が陰性,CD11c,CD19,CD20,κ鎖が陽性であり,骨髄の病理像では小型から中型の異常リンパ球の結節性増殖を認めた。以上より,脾臓辺縁帯リンパ腫と診断し,rituximab単独療法8回投与を選択した。しかしながら,rituximab単独療法後,脾腫は縮小するも貧血は改善せず,骨髄に異常リンパ球が残存したため,bendamustineを6コース追加投与した。抗がん剤治療後,貧血は改善し,全身状態良好となった。経過の長い原因不明の貧血の鑑別には,稀ではあるが,脾臓辺縁帯リンパ腫も注意すべき疾患の一つと考えられる。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 58 (1), 9-14, 2017

    一般社団法人 日本血液学会

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