成人T細胞白血病リンパ腫の遺伝学的基盤の解明

  • 片岡 圭亮
    京都大学 大学院医学研究科腫瘍生物学講座
  • 小川 誠司
    京都大学 大学院医学研究科腫瘍生物学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Genetic landscape of adult T-cell leukemia/lymphoma
  • セイジン Tサイボウ ハッケツビョウ リンパシュ ノ イデンガクテキ キバン ノ カイメイ

この論文をさがす

抄録

ATLはHTLV-1を原因とするT細胞性腫瘍であり,その体細胞異常の遺伝学的基盤はこれまでほとんど明らかでなかった。著者らは426例のATL患者検体を用いて全エクソン解析・全ゲノム解析・標的シーケンスによる変異解析,RNAシーケンス,マイクロアレイによるコピー数解析およびDNAメチル化解析を含む網羅的な遺伝子解析を行い,ATLの体細胞異常の全体像を解明した。それらの異常はTCR/NF-κB経路やT細胞の遊走,免疫監視,その他のT細胞関連の経路に強く集積しており,同時にHTLV-1 Tax関連遺伝子と有意に重複していた。注目すべき異常としては,PLCG1PRKCB, CARD11, VAV1, IRF4, CCR4, CCR7などの機能獲得型変異やCTLA4-CD28ICOS-CD28融合遺伝子を認めた。これらの結果は,難治性のATLの診断・治療法の発展に有用な示唆を与える。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 57 (4), 417-424, 2016

    一般社団法人 日本血液学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ