同種骨髄移植後生着前の総胆管結石症に対し,内視鏡的胆道ドレナージを施行した再生不良性貧血

書誌事項

タイトル別名
  • Endoscopic biliary drainage for choledocholithiasis in a patient with aplastic anemia before hematological engraftment after allogeneic transplantation
  • 症例報告 同種骨髄移植後生着前の総胆管結石症に対し,内視鏡的胆道ドレナージを施行した再生不良性貧血
  • ショウレイ ホウコク ドウシュ コツズイ イショク ゴ セイチャク マエ ノ ソウタンカン ケッセキショウ ニ タイシ ナイシキョウテキタンドウ ドレナージ オ シコウ シタ サイセイ フリョウセイ ヒンケツ

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抄録

症例は30歳代,男性で,1997年発症の重症再生不良性貧血である。前医でmPSLパルス療法,ATG, cyclosporineで治療が行われたが,寛解・再燃を繰り返し,徐々に治療耐性となったため,同種骨髄移植目的に当院へ転院となった。移植前精査で,無症候性胆嚢胆石・総胆管結石を認めたが,白血球が低値であることから移植後に結石除去を行う方針とした。転院後,発熱を認め,G-CSFを連日投与しても好中球100/μl以下であり発熱性好中球減少症の状態であった。抗生剤投与により解熱後,骨髄非破壊的前処置でHLA一致ドナーより,非血縁者間同種骨髄移植を行った。移植後day 9に総胆管結石に伴う閉塞性胆管炎を発症した。無菌解除の上,内視鏡的にEBDチューブを挿入し,その後胆管炎症状は軽快した。day 24に骨髄生着し,血小板回復後のday 57にESTを施行し,総胆管結石の排石を行った。<br>本症例は生着前の時期に閉塞性胆管炎を発症したが,内科的治療(EBD, 抗生剤投与)により救命しえた。移植前の無症候性胆道結石の扱いについて,定まった方針はなく,その適応に関しては,今後の症例の蓄積とさらなる検討が必要と考えられた。しかし一方で本症例により,たとえ移植前に手術や処置ができなくても,内科的治療により感染を乗り切ることができる可能性も示唆された。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 50 (5), 419-423, 2009

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (9)*注記

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