HLA半合致移植の現状と展望

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タイトル別名
  • HLA-haploidentical hematopoietic stem cell transplantation: current status and future perspectives
  • HLA ハンガッチ イショク ノ ゲンジョウ ト テンボウ

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抄録

血縁者間HLA半合致(ハプロ)移植は,ほぼ全ての患者でドナーが得られるので,HLA一致同胞が得られず,HLA一致非血縁者ドナーを待てない患者の代替療法として注目されてきた。その成功のキーはドナーT細胞除去であり,CD34陽性細胞純化法,抗胸腺細胞グロブリン(ATG)を含む移植前処置法に加え,最近の移植後シクロホスファミド(PTCY)法という3つのプラットフォームの開発により,世界的に急増している。T細胞除去効率が高いとGVHD抑制効果は高いが,日和見感染が問題となり,抗ウイルス対策の向上が喫緊の課題となっている。ATG法やPTCY法はT細胞除去効率が低いため,薬物によるGVHD予防の併用が必要であるが,感染症リスクは低く,実用的であり,ハプロ移植の主流となっている。現在ハプロ移植の成績はHLA一致ドナーからの移植成績に匹敵するようになり,造血幹細胞移植の新たなブレークスルーとなりつつある。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 57 (3), 288-297, 2016

    一般社団法人 日本血液学会

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