造血器腫瘍におけるTET2のゲートキーパーとしての役割

書誌事項

タイトル別名
  • TET2 as a gatekeeper for hematologic malignancies
  • ゾウケツキ シュヨウ ニ オケル TET2 ノ ゲートキーパー ト シテ ノ ヤクワリ

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説明

TET (Ten Eleven Translocation)ファミリータンパク質はメチルシトシンをヒドロキシメチルシトシンに変換する酵素であり,DNAの脱メチル化に重要な役割を果たしている。中でもTET2遺伝子異常は,骨髄異形成症候群,骨髄増殖性腫瘍,慢性骨髄単球性白血病,急性骨髄性白血病などの骨髄球系造血器腫瘍のみならず,血管免疫芽球性T細胞性リンパ腫,分類不能型末梢性T細胞性リンパ腫の一部といった濾胞性ヘルパーT細胞の特徴を有するT細胞性リンパ腫において高頻度に認められることが報告されてきた。これまで様々な種類のTet2 knockout/knockdownマウスの解析が報告されており,Tet2遺伝子異常は造血幹細胞の自己複製能,競合的再構築能の亢進を導き,ヒト同様,骨髄球系造血器腫瘍およびT細胞性リンパ腫を発症することが明らかとなってきた。TET2遺伝子異常は多様な造血器腫瘍の発症に関与する一方,一部の健常な高齢者にも見られることから,造血幹/前駆細胞に前がん状態を形成するfounder mutationであると考えられる。一旦TET2が障害を受けると,疾患特異的な変異が加わることで様々な造血器腫瘍に進展するところ,これを未然に防ぐゲートキーパーとしての役割を果たしている可能性がある。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (6), 651-656, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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