臍帯血移植後に血中抗原陰性であった乳児に発症したCMV網膜炎

書誌事項

タイトル別名
  • Development of CMV retinitis in an antigenemia-negative infant after cord blood transplantation
  • 症例報告 臍帯血移植後に血中抗原陰性であった乳児に発症したCMV網膜炎
  • ショウレイ ホウコク サイタイケツ イショク ゴ ニ ケッチュウ コウゲン インセイ デ アッタ ニュウジ ニ ハッショウ シタ CMV モウマクエン

この論文をさがす

抄録

症例は移植時5ヶ月の男児,血球貪食性リンパ組織球症に対して骨髄非破壊的前処置を用いた臍帯血移植を施行した。移植後早期に著明な肺水腫を認め,メチルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法施行後,GVHD治療としてmPSL投与をday 100まで継続した。Day 27と55にCMV抗原血症を認めたが,いずれも2~3週間のガンシクロビル(GCV)静注により陰性化した。以後もCMV抗原は陰性であったが,day 120に施行した眼底検査で両眼底に多発性白斑を認め,前房水のCMV-DNAが検出されCMV網膜炎と診断した。GCV静注を開始したが治療効果が乏しく,フォスカルネット静注に変更後に網膜炎の改善と前房水CMV-DNA値の低下を認めた。CMV抗原血症が陰性でも網膜炎を発症する症例が存在するため,乳児など自覚症状の訴えが乏しい移植症例に対しては定期的な眼底検査によるモニタリングが必要と考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (5), 506-510, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ