TPO受容体作動薬ロミプロスチムによって骨髄レチクリンおよびコラーゲン線維の増生を認めたITP

  • 桐戸 敬太
    Department of Hematology/Oncology, University of Yamanashi
  • 小松 則夫
    Department of Hematology, Juntendo University School of Medicine

書誌事項

タイトル別名
  • Progression of bone marrow fibrosis with reticulin and collagen hyperplasia during treatment with the thrombopoietin receptor agonist romiplostim in a patient with immune thrombocytopenia
  • 症例報告 TPO受容体作動薬ロミプロスチムによって骨髄レチクリンおよびコラーゲン線維の増生を認めたITP
  • ショウレイ ホウコク TPO ジュヨウタイ サドウヤク ロミプロスチム ニ ヨッテ コツズイ レチクリン オヨビ コラーゲン センイ ノ ゾウセイ オ ミトメタ ITP

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説明

ロミプロスチムはトロンボポエチン(TPO)受容体作動薬の一つであり,難治性の特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する新たな治療薬として注目されているが,最近長期使用に伴うレチクリンおよびコラーゲン線維の発生が懸念されている。今回,国内第3相臨床試験/長期継続試験に登録した症例で,試験終了後に骨髄線維化が確認された症例を経験した。症例は64歳女性。難治性ITPと診断され,ロミプロスチムの臨床試験に参加した。長期継続試験にてロミプロスチム投与開始後116週目に,末梢血中に骨髄芽球を認めため,ロミプロスチムを中止した。118週目には,涙滴赤血球を認めたため骨髄生検を実施したところ,レチクリン線維とコラーゲン線維の増生が確認され,血小板数が0.4万まで急激に低下し肉眼的血尿も認めたため,減量して再開した。ロミプロスチム再開後約1年経過後に再度骨髄生検施行時には,レチクリンおよびコラーゲン線維増生の程度は減少していた。TPO受容体作動薬による骨髄線維化を示した実例は少ないうえに,可逆性と考えられているが,今後の一般臨床での使用にあたっては十分な注意が必要であると考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 54 (3), 295-299, 2013

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (15)*注記

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