台湾リスの溶血レンサ球菌感染症を惹起したC群レンサ球菌の産生する溶血毒素について

書誌事項

タイトル別名
  • Properties of a Hemolysin Produced by Group C Streptococci Isolated from Hemolytic Streptococcal Infection in Formosan Squirrels
  • 台湾リスの溶血レンサ球菌感染症を惹起したC群レンサ球菌の産生する溶血毒素について(レンサ球菌感染症研究会報告)
  • タイワン リス ノ ヨウケツレンサキュウキン カンセンショウ オ ジャッキシタ

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抄録

C群レンサ球菌の産生する溶血毒素 (GCH) のpIは5.6, 分子量は32,000であり, 非還元状態でも溶血活性を示した.これらの性状はストレプトリジンS (SLS) に類似しており, さらにK+とヘモグロビン (Hb) の遊離態度からはSLSと同様にコロイド浸透圧過程に従う溶血様式を示した.しかし, 溶血機序解析の指標となる溶血効率は1.06とSLSの3.49に比し低値であることから, 膜上にはSLS複合体よりも小さな孔形成が認められるものと推測される.また, コレステロールで阻害されないという成績より, 赤血球への結合部位はSLSと同様にリン脂質と考えられる.従って, 赤血球膜のリン脂質部分に直接結合することによって膜秩序を乱し, イオンを放出させ, その後の浸透圧作用によって細胞が破壊されるものと考えられる.また, ヒト-γグロブリンで毒素中和されない成績から, GCHはストレプトリジンO (SLO) とは免疫原性が異なることが示された.ゆえに, ここで得られた32,000の分子量はSLSと同様に毒素のキャリアタンパク質の可能性が示唆された.これらの成績よりGCHはSLSに極めてi類似する毒素であることが判明したが, SLSの細胞障害性および組織障害性を考慮すると, リス感染症においても本毒素が病変へ大きな影響を与えたことが強く示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 69 (3), 327-332, 1995

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (11)*注記

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