ウサギ下顎骨感染モデルの多形核白血球に関する実験的研究

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タイトル別名
  • Experimental Studies of Polymorphonuclear Leukocyte on Mandibular Bone Infection Model in Rabbit
  • ウサギ カガクコツ カンセン モデル ノ タケイカク ハッケッキュウ ニ カン

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抄録

佐藤-Heimdahl法に準じてStreptococcus milleri NCTC 7311およびBacteroides fragilis NCTC 9343を用いて, ウサギ下顎骨に感染モデルを作製し, 白血球数および多形核白血球 (Polymorphonuclear Leukocyte: PMN) の機能を検討し, 同時に病理組織学的所見を加え, 以下の結果を得た. また, 外科的侵襲のみを加えたものを対照群とし, 同様の方法で可及的に無菌的に作製し, 比較検討した.<BR>1) 白血球数においては菌接種群, 対照群ともに処置後増加し, 両群とも3日目に最高値を示した. その後, 徐々に低下するものの7日目の値は処置前よりもやや高く, 炎症の持続性が認められた.<BR>2) PMNの機能については菌接種群, 対照群とも付着能, 遊走能, NBT還元能のいずれの機能にも充進がみられた.<BR>3) 菌接種群は接種菌により, より強い炎症反応が惹起され, 宿主の一連の感染防御機構が活性化されたため, PMNのいずれの機能においても, 対照群より充進がみられた.<BR>4) 病理組織学的所見においては, 処置後両群ともに白血球を主体とした炎症性の細胞浸潤がみられたが, 菌接種群のほうが浸潤の程度が強く, 広範囲で認められた.<BR>以上の結果より, 菌接種群がすべての項目において対照群よりも高い値を示していたことから, 感染の原因となった細菌, あるいはそれに随伴する細菌によって, 宿主の感染防御機構が影響を受け, 菌接種群のほうが急性期においてPMNの機能が充進していることがわかった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 72 (5), 526-535, 1998

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (20)*注記

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