海外旅行者下痢症の細菌学的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Bacteriological Study of Traveller's Diarrhoea
  • 海外旅行者下痢症の細菌学的研究-4-1984~1991年大阪空港における下痢原因菌検索成績
  • カイガイ リョコウシャ ゲリショウ ノ サイキンガクテキ ケンキュウ 4 19
  • 4) Isolation of Enteropathogenic Bacteria from Patients with Traveller's Diarrhoea at Osaka Airport Quarantine Station during 1984-1991
  • (4) 1984~1991年大阪空港における下痢原因菌検索成績

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説明

1984~1991年の8年間に大阪空港から入国した海外旅行者は16,639,233名で, 検疫の際に下痢を申告した者は38,326名であった.そのうち12,573名について下痢原因菌の検索を行い以下の成績を得た.<BR>1) 下痢原因菌の検出率は29.2%で, Salmonella, Plesiomonas, Vibrio parahaemolyticus, Shigella, enterotoxigenic E. coli (ETEC), V. cholerae non-O1 が旅行者下痢症の主因をなしていた.<BR>2) 各菌種とも検出率の大きな季節変動はなく, 年間を通じて検出された.<BR>3) 推定感染地は各菌種とも広域にわたっているが, Salmonella, ETEC, Plesiomonasは東南および南西アジアに多く, Shigellaはインドに集中していた.その他の菌種はアジア地域に限定され, Vibrio属菌は東南および東アジアに多い傾向を認めた.<BR>4) V.choleme O1は22例検出されたが, 大部分がEltor Ogawa型であり, コレラ毒素産生株 (CT (+)) が13例, CT (-) 株9例であった.<BR>5) 下痢原因菌陽性例の約18%にあたる670例に混合感染がみられた.<BR>6) Salmonellaは97種の血清型が検出された.<BR>7) ShigellaはD-群が最も多く, 次いでB-群, C-群, A-群の順に検出された.<BR>8) V.parahaemolyticusの血清型はO4: K8が最も多く検出された.また787株のうち9.8%は耐熱性溶血毒 (TDH) 産生性を確認できなかった.<BR>9) Shigellaの約90%, Salmonellaの約32%が薬剤耐性株であり, 耐性率, 多剤耐性株ともに年次的な増加を示した.<BR>10) ETECの検出率は約11%であり, 耐熱性エンテロトキシン (ST) 単独産生株が最多で, 易熱性エンテロトキシン (LT) 単独産生株, LT-ST両毒素産生株の順で検出され, これらの混合感染例もみられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 66 (10), 1422-1435, 1992

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (5)*注記

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