書誌事項
- タイトル別名
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- Analysis of UTI in Hospitalized Elderly Patients, with Particular Reference to the Use of Diapers
- 特にオムツ使用の影響
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説明
高齢入院患者の尿路感染症の特徴と排尿方法による差異を検討するため, 当院1年間の延べ215名の入院患者 (平均年齢76.9±12.1歳) の毎月の検査成績を検討した.<BR>尿路感染症は121/1,897件 (6.4%) に認められ, そのうち95例 (78.5%) は女性で有意に高率であった.非感染時と感染時の比較では, 体温が36.57±0.64℃ に対し37.49±0.77℃, 末梢血白血球数が5,410±2,040/μ1に対し7,260±3,230/μ1, CRPが1.2±2.4mg/dlに対し3.5±3.4mg/dl, 尿中赤血球数の平均階級が0~1/hpfに対し3~5/hpf, 尿中白血球数の平均階級が5~10/hpfに対し30~50/hpfと, いずれもo.1%以下の危険率で有意に感染時に増加がみられた.起炎菌の検出率は88.7%で, 内訳ではEcoli14.8%, Pmvidenc勿属12.2%, Entemocms属9.6%, Paemginosa8.7%などが高率に分離された.<BR>排尿方法別に自力排尿群, おむつ群, カテーテル群に分け各パラメーターの異常出現率を見たところ, 体温 (37.5℃ 以上) はそれぞれ2.8%, 10.1%, 34.9%で, 末梢血白血球数 (9,000以上) は2.7%, 6.1%, 14-3%, CRP (1.0以上) は16.9%, 36-1%, 51.1%, 尿中赤血球数 (6~10/hpf以上) は8.4%, 7.1%, 36.1%, 尿中白血球数 (15~30/hpf以上) は20.4%, 44.4%, 76・9%であり・尿中赤血球数の自力排尿とおむつ群以外の間には統計的な有意差が認められた.おむつの使用によっても尿路感染症の頻度が上昇することが示された.
収録刊行物
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- 感染症学雑誌
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感染症学雑誌 66 (12), 1615-1620, 1992
一般社団法人 日本感染症学会