1985~1994年の10年間に山梨県で分離された散発下痢症患者由来サルモネラの血清型と薬剤感受性

書誌事項

タイトル別名
  • Serovars and Drug Susceptibility of Salmonella Isolated from Patients with Sporadic Diarrhea in Yamanashi Prefecture during the Last Decade (1985-1994)
  • 1985 1994ネン ノ 10ネンカン ニ ヤマナシケン デ ブンリサレタ

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抄録

1985年4月から1994年12月までの10年間の山梨県での散発下痢症患者由来のサルモネラ1,242株について, その血清型, 薬剤感受性, 年月別および年齢・性別の分離頻度について検討した.<BR>血清型は54種類に分類された.最多血清型は1989年から急増したSalmonellaser-Enteritidis492株, 39.6%であった.次いで分離頻度の高かった血清型はS.Typhimurium206株, 16.6%, S.Oranienburg59株, 4.8%, S.Hadar57株, 4.6%, S.Litchfield55株, 4.4%の順であった.山梨県内ではヒト由来株として初めてS.Stanleyville, S.Hartford, S.Rissen, S.Chinco1, S.Gaminara, S.Hvittingfoss, 8.Poonaなどが分離され, 血清型の多彩化が目立った.年別では1989年が最多で238株, 19.2%, 次いで1994年193株, 15.5%, 1993年146株, 11.8%の順であった.月別では8月が263株, 21.2%と最も多く, 9月17.1%, 10月12.0%とつづき夏期から秋口に集中していた.患者の年齢別をみると, 9歳以下の乳幼児, 小児からの分離例が多く, とくに0~4歳までの乳幼児に多かった.2歳児16.5%, 1歳児15-4%, 4歳児11.4%, 3歳児10.7%, 0歳児10.4%であった.性別は, 男からの分離例が58.0%と女より多くみられた.耐性株は1,242株のうち776株, 62.5%であり, 最多耐性型はSM1剤耐性型であった.これは分離株数として最も多かったS.EnteritidisのSM1剤耐性株の多さによった.また, S.Typhimurium, S.Hadar, S.Blockley, S.Chaileyなどは, その血清型によって耐性の型が限定されるという特徴があった.食中毒事件とならないものの, 散発下痢症患者由来のサルモネラの監視は, その時期, 季節における流行血清型が把握でき, サルモネラ症を予防するうえでの重要な疫学的基礎資料となることが示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 69 (11), 1294-1301, 1995

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (14)*注記

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