感染性腸炎に対するBalo floxacinの臨床的研究および感染性腸炎患者における糞便中薬剤濃度と腸内細菌叢の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Study of Balofloxacin on Infectious Enteritis and Assessment of the Fecal Drug Concentration and Intestinal Microbial Flora in Patients with Infectious Enteritis
  • カンセンセイ チョウ エン ニ タイスル Balofloxacin ノ リンシ

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抄録

細菌性赤痢を主とする急性感染性腸炎患者および保菌者に対するbalofloxacin (BLFX) の有効性, 安全性および有用性について検討した. 投与量は1回2錠 (1錠中にBLFX 100mg含有), 1日2回, 朝, 夕食後 (1日量400mg) に経口投与した. 投与日数は原則として5日間としたが, サルモネラ腸炎患者およびその保菌者は7日間, コレラ患者は3日間とした.<BR>1.総投与例数135例中, 有効性解析対象症例は89例であった (細菌性赤痢43例, サルモネラ腸炎14例, 腸管病原性大腸菌性腸炎8例, コレラ3例, その他の病原菌による腸炎7例, 複数菌感染6例, 菌陰性急性腸炎8例).<BR>2. 患者52例における臨床効果 (対症状効果) は細菌性赤痢で著効率63.1%, 有効率94.7%, サルモネラ腸炎で著効率30.0%, 有効率100%であり, 全体では著効率51: 9%, 有効率96.2%であった.<BR>3. 細菌学的効果は赤痢菌属で100%, サルモネラ菌属で85.7%の有効率であり, 全体では著効率89.7%, 有効率97.4%であった.<BR>4. 副作用 (n=133) は発疹, 手掌のしびれ感, 嘔気, 口内炎などが計5例 (3.8%) に認められた. また, 臨床検査値異常 (n=115) は, 20例 (17.4%) に認められたが, GOT, GPTなどの増加が主なもので, いずれも軽度であった.<BR>5. 有用性 (n=82) は, 非常に満足が62.2%, 満足以上が89.0%であった.<BR>6. BLFX投与時の糞便中濃度と腸内細菌叢への影響について検討を行ったが, 健常人とほぼ同等の成績であった.<BR>以上より, BLFXは細菌性赤痢を初めとする各種感染性腸炎に対して有用性の高い薬剤であると思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 69 (9), 991-1006, 1995

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (13)*注記

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