免疫磁気分離 (IMS) 法による腸管出血性大腸菌O157の検出

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タイトル別名
  • Isolation of Enterohemorrhagic <I>Escherichia coli</I> (O157: H7) by an Immunomagnetic Separation Method
  • メンエキ ジキ ブンリ IMS ホウ ニヨル チョウカン シュッケツセイ ダイ
  • Isolation of Enterohemorrhagic Escherichia coli (O157: H7) by an Immunomagnetic Separation Method

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抄録

神奈川県で発生した腸管出血性大腸菌O157感染症の散発事例3事例について, 免疫磁気分離法 (IMS法) による原因菌の検索を行い, 感染源の追究を行ったところ, 各々の事例で以下の結果が得られた. 事例1では患者および推定原因施設から収去した参考食品 (牛レバー) からO157: H7 (VT2陽性) が分離され, 各々の分離株のDNAパターンが一致し, 原因食品を推定できた.本事例ではさらに当該食品の流通経路にあたる卸売店内から腸管出血性大腸菌0157: H7 (VT1, VT2陽性) を検出し, 当該施設の汚染実態を明らかにした. 事例2では患者からの分離株はO157: H7 (VT1, VT2陽性) であったが, 患者家族および推定原因施設の拭き取り材料から0157: NM (VT2陽性) が分離された.後2者由来株のDNAパターンが一致したことから, 本施設の汚染が感染の原因であったことが強く示唆された. 事例3は家族内発生事例で家族7名中患者を含めて4名からO157: NM (VT2陽性) が分離され, 分離株のDNAパターンも同一であった. 原因食品として自家製食品が疑われたが, 残品がなく感染源は特定できなかった.以上のような腸管出血性大腸菌0157感染症の続発に伴い, 関連調査として行ったと畜場の本菌汚染調査では, 牛直腸内容物, 処理工程中の牛枝肉拭き取りからO157: H7 (VT1, VT2陽性) をそれぞれ3.8%(1/26) 検出した. また, 環境汚染調査の一つとして行った県内4河川の10地点の河川水からは, 本菌は検出されなかった.<BR>IMS法を用いた食品材料からの腸管出血性大腸菌0157の検出に関して, その増菌培養条件および分離培地の検討を行った結果, TSB培地で36℃, 6時間培養後, CT-SMAC寒天培地に塗抹培養する方法が最良であった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 71 (1), 46-55, 1997

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (15)*注記

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参考文献 (16)*注記

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