ニューキノロン薬耐性淋菌の耐性機構の解析

書誌事項

タイトル別名
  • Quinolone-Resistant Mutations in <I>Neisseria gonorrhoeae</I>
  • ニューキノロンヤク タイセイ リンキン ノ タイセイ キコウ ノ カイセキ
  • Quinolone-Resistant Mutations in Neisseria gonorrhoeae

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抄録

1991年2月から1992年1月までの間に受診した淋菌性尿道炎患者から分離され, 保存し得た淋菌のうちニューキノロン薬低感受性株10株を選び, キノロン耐性機構の解析を行った. 最初に, PCG感受性でニューキノロン薬耐性の3株を用いて, 大腸菌gyrA遺伝子をもつプラスミドによる淋菌の形質転換実験を行い, 次いで, PCR法により淋菌gyrA遺伝子上の塩基配列を決定した. 形質転換実験を行った3株のうち2株で形質転換体が得られ, その中の1株はnorfioxacin (NFLX) で8倍感性化し, この株はgyrA変異を有していることが推定された. PCR法による淋菌gyrA遺伝子上の塩基配列の検討の結果, 2株はいずれも, gyrA遺伝子上にSer-83 (TCC) →Phe (TTC) 変異を有しており, もう1株ではこのSer→Pheへの変異に加えて, Asp-87 (GAC) →Gly (GGC) の変異を併せもっていた. こうしたキノロン耐性淋菌のgyrA遺伝子上の変異は, 大腸菌など他の細菌で報告されている変異と相同性が高く, わが国におけるニューキノロン薬の使用頻度の増加がこうした耐性淋菌の蔓延と関連が深いことが推測された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 69 (5), 511-516, 1995

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (11)*注記

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参考文献 (17)*注記

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