ヒトヘルペス科ウイルス感染I報

DOI Web Site PubMed オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Human Herpesviruses Infections (I)
  • ヒトヘルペス科ウイルス感染-1-癌患者におけるEBV感染と免疫
  • ヒト ヘルペスカ ウイルス カンセン 1 ガン カンジャ ニ オケル EBV
  • EBV Infection and Immunity in Cancer Patients
  • 癌患者におけるEBV感染と免疫

この論文をさがす

説明

ヒトヘルペス科ウイルスはヒトに潜伏感染し, 免疫能の低下時に再活性化することが知られている. 免疫能の指標としてヒトヘルペス科ウイルス (Varicella-Zoster Virus: VZV, Herpes Simplex virus: HSV, Cytomegalo Virus: CMV, Epstein-Barr Virus: EBV) の抗体調査を40歳-80歳未満の癌患者と同年齢層の健常者について行なった. その結果EBVを除きCF抗体の陰性例は60歳未満の若齢の健常者と60歳以上の老齢の癌患者であった. 高抗体価 (64倍以上) の保有例は若齢の癌患者と老齢の健常者に高率に認められた. 一方EBV抗体は健常者の80%以上が40-160倍の抗体価を有し, 高い抗体価 (640倍以上) は7%以下であった. さらに老齢になると抗体陰性率と40倍以下の低抗体価の保有率上昇が認められた. それに対し癌患者では70%が320倍以上の抗体価を有し, 抗体陰性例は0%, 低抗体価は5%以下であった. また高抗体価の保有率は加齢と共に上昇し70歳代では半数の50%が高抗体の保有例であった. さらにVirus Capsid Antigen (VCA) の高抗体価の癌患者ほど, EBVの標的細胞である成熟B細胞数の減少と機能低下を認めた. この現象はEBVが担癌生体で再活性化することにより, 特異抗体の産生能の低下を引き起こしている可能性を示している.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 65 (7), 799-807, 1991

    一般社団法人 日本感染症学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ