改良アルカリ前処理法を用いた血中 (1-3)-β;-D-グルカン測定法の基礎的検討

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タイトル別名
  • Evaluation of an Improved Pretreatment Method for the Measurement of (1→3)-β-D-Glucan in Blood Samples
  • 改良アルカリ前処理法を用いた血中(1→3)-β-D-グルカン測定法の基礎的検討
  • カイリョウ アルカリ マエ ショリ ホウ オ モチイタ ケッチュウ 1 3 ベータ D グルカン ソクテイホウ ノ キソテキ ケントウ
  • Evaluation of an Improved Pretreatment Method for the Measurement of (1^|^rarr;3)-^|^beta;-D-Glucan in Blood Samples

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説明

血中 (1-3)-β-D-グルカン測定は深在性真菌症の補助診断法の一つであり, 早期診断や治療経過観察に有用である.これまで本邦では5つの測定キットが臨床使用可能であったが, アルカリ前処理一発色合成基質カイネティック法を用いるファンギテックGテストMKが簡便性や検体処理能力の高さから頻用されている.しかし近年, 本キットと他キットで測定値および判定結果に不一致を生じる検体や, 本キットの偽陽性と判断される症例のあることが指摘されていた。その原因の一つに本キットで比較的高率に認められるβ-グルカンによらない非特異反応が指摘されてきた。今回, 本キットで用いる前処理液の組成を再検討し, KOH濃度を下げ, 塩濃度を高めることにより, 非特異反応出現頻度を大幅に低下させることに成功したので報告する.改良アルカリ前処理液では, 血漿ならびに血清への標準β-グルカン (パキマン) の添加回収試験において, 80~120%と現行法と同様の良好な回収率が得られた.また改良法による前処理後には検体由来の非特異的なアミダーゼ活性は検出されなかった.臨床検体の血漿200検体中, 現行法では139検体で非特異反応がみられ, そのうち7検体でカットオフ値 (20pg/mL) 以上の数値を示したが, 改良法では非特異反応の出現を認めたものは16検体, カットオフ値以上の数値を認めたものは1検体に減少した。同様に血清170検体中, 現行法では106検体で非特異反応が認められ, そのうち7検体ではカットオフ値以上の非特異反応が確認されたが, 改良法では非特異反応が認められたものは22検体に減少し, カットオフ値を上回る非特異反応を認めたものはなかった.また現行法の真値と改良法による測定値の間には良好な相関を認めた.改良アルカリ前処理液を用いることにより, 非特異反応による偽陽性が少なくなり特異度が向上することが期待される.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 79 (7), 433-442, 2005

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (6)*注記

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