薬剤耐性遺伝子型別に基づく<I>Streptococcus pneumoniae</I>の増殖能に関する解析

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タイトル別名
  • <I>Streptococcus pneumoniae</I> Growth Based on Drug Resistance Genotype
  • 薬剤耐性遺伝子型別に基づくStreptococcus pneumoniaeの増殖能に関する解析
  • ヤクザイ タイセイ イデンシガタベツ ニ モトズク Streptococcus pneumoniae ノ ゾウショクノウ ニ カンスル カイセキ
  • Streptococcus pneumoniae Growth Based on Drug Resistance Genotype

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抄録

耐性化の著しい肺炎球菌でPenicillin耐性遺伝子ごと, あるいは, マクロライド耐性遺伝子ごとの増殖能を比較検討した報告はない.肺炎球菌は, これら耐性遺伝子型別の組み合わせパターンにより臨床出現株数に偏りがあり, それは菌ごとの増殖能に要因があるように思われた. そこで, 臨床上の肺炎球菌を耐性遺伝子型別に集積し, 肺炎球菌標準株ATCC6303とともにそれぞれの増殖を吸光度計で測定して, 時間値 (Time0, 2, 4, 8, 10, 12およびTime24) と, 各検討項目 [初期値, 沈滞時間, 増殖時間 (Doubling Time: 以下D.B.T), Peak到達時間, Peak値, 定常値] の視点から比較を行った. 標準株 (ATCC6303) と非耐性臨床株 (PSSP8) では, 時間値および各項目に差はなかった. PSSP (Penicillin susceptible Streptcoccus pneumoniae) 8株とPISP (Penicillin intermediately resistant Streptcoccus pneumoniae) (2b, mefA) 株は, 時間値 (Time8, 10, 12) および, 項目 (沈滞時間, D.B.T, Peak到達時間) に有意差が認められた.<BR>また, PSSP, PISP, PRSP (Penicillin resistant Streptcoccus pneumoniae) 間では, PSSP>PISP>PRSPの順で早く増殖する可能性があり, mefA株と非mefAermB株と非ermB株間ではそれぞれ, mefA株>非mefA株非ermB株>ermB株の順で早く増殖する可能性が示唆された.PISP (2x), PISP (2x+2b, mefA) は, すぐに増殖を開始するため, 他の肺炎球菌よりも早く増殖する可能性が示唆された.以上より, 肺炎球菌臨床分離株間の蔓延には, 菌の増殖開始時間や増殖速度に起因することが示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 82 (4), 292-299, 2008

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (14)*注記

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