東日本における患者糞便内のバンコマイシン耐性<I>Enterococcus</I> (VRE) の検出状況

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タイトル別名
  • Epidemiological Study on Vancomycin-Resistant Enterococci from Fecal Samples in the East Area of Japan
  • 東日本における患者糞便内のバンコマイシン耐性Enterococcus(VRE)の検出状況--45施設の成績
  • ヒガシニホン ニ オケル カンジャ フンベン ナイ ノ バンコマイシン タイセイ Enterococcus VRE ノ ケンシュツ ジョウキョウ 45 シセツ ノ セイセキ
  • 45施設の成績

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抄録

東日本の45病院の協力を得て, 患者糞便中のVRE保菌状況を調査した. 6914例の患者糞便から1, 583株のEnteroccu属菌が分離された. 最も多かったのはE. gallinarum 1, 040株 (65.7%), 次いでE. casseliflavus 386株 (244%), E. faecalis 72株 (2.1%), E. flavescens 35株 (2.2%), E. faecium 33株 (21%), E. avium 17株 (11%) であった.<BR>vanAおよびvanB遺伝子保有株は4株検出された. vanA保有E. faecalisの2株は1株が関東地区 (東京以外) 病院の入院患者から, もう1株は都内の病院の外来患者から検出された. VCMのMICは>128μg/mlであったが, TEICのMICは4μg/mlと低い値であった. また, MINO, OFLXのMIC値が大きく異なっていたが, その他の薬剤では同等であった. vanB保有株はE. faecalis, E. gallinarumのそれぞれ1株が検出され, いずれも都内の入院患者から検出された. vanB保有のE. facalisではVCMのMICは64μg/mlで耐性, TEICは0.25μg/mlで感性と判定された. E. gallinarumvanBのほかvanC1遺伝子も保有しており, VCMおよびTEICのMIC値は他のvanC1保有株と同等であった (VCM: 8μg/ml, TEIC: 0.25μg/ml). vanC2/3遺伝子保有株で色素非産生株が5株認められ, これらはE. casseliflavusと考えられた. vanAまたはvanB保有E. faecalisSmaIによるPFGEのバンドパターンが異なっており, それぞれ由来を異にすることが示唆された. 以上より院内感染の原因菌として重要なvanAまたはvanB保有株は, 現在のところ非常にまれであると考えられる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 75 (7), 541-550, 2001

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (9)*注記

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参考文献 (19)*注記

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