A群溶血レンサ球菌T-1型菌の長期間にわたる流行について-健康学童を対象にして

  • 中島 邦夫
    レンサ球菌感染症研究会 堺市宿院保健所 大阪市立大学医学部臨床検査医学
  • 奥山 道子
    大阪市立大学医学部臨床検査医学 大阪市立桃山市民病院
  • 奥田 清
    大阪市立大学医学部臨床検査医学

書誌事項

タイトル別名
  • Long-Term Prevalence of Group A Type T-1 Isolated from Thorat of Healthy Schoolchildren
  • A群溶血レンサ球菌T-1型菌の長期間にわたる流行について--健康学童を対象にして-1-
  • Aグン ヨウケツレンサキュウキン T-1ガタキン ノ チョウキカン ニ ワタル
  • Part I. Analysis by Detection Rate
  • 第1編流行の状況

この論文をさがす

抄録

大阪市内の1小学校の健康学童を対象に1980年9月から1987年11月までの7年余にわたり, 隔月毎に咽頭由来溶血レンサ球菌 (A, B, C, G群) の検索を行い, その間にA群T-1型菌の3年7ヵ月にわたる流行を経験した. 7年間を通じての溶血レンサ球菌の検出率は42.2%であった. 群別では当初はA群溶血レンサ球菌を多く分離したが, 1985年3月頃からは次第にB群溶血レンサ球菌を多く分離するようになった. A群T-1型菌は, 検索開始当初は殆ど分離iされることもなく, 最多分離菌型もT-12型, T-6型, T-B3264型, T-13型と数ヵ月で次々と交代した. しかしながら, 1983年7月にT-1型が最多分離菌型となってからは1987年1月までの3年7ヵ月の間, その流行が続いた. 特にこのうち1983年11月から翌1984年11月までの13ヵ月間は, 分離したA群菌総数の67.4%から90.4%にも達する高い検出率を得た. この時期のT-1型菌の検出率を学年別に検討すると, いずれの学年においても1983年11月の時点で大幅に検出率が増加し, この流行の最盛期は全学年において一斉に訪れたことが判明した. 但し, この増加率は高学年にやや小幅であった. 1984年4月に入学した新1年生は, 同年5月の時点で85.7%という高いT-1型菌の検出率を得た.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 62 (10), 886-892, 1988

    一般社団法人 日本感染症学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ