易感染状態にある血液疾患患者に対する非吸収性抗生物質の予防投与

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タイトル別名
  • Prophylactic Nonabsorbable Antibiotics for Patients with Hematological Disease Increasing Incidence of Infection
  • イカンセン ジョウタイ ニ アル ケツエキ シッカン カンジャ ニ タイスル

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説明

易感染状態にある血液疾患患者 (急性白血病の寛解導入期および重症再生不良性貧血の骨髄移植の計10例) の腸内細菌を抑制する目的で非吸収性抗生物質Tobramycin 720mg/日, Vancomycin 1.5g/日, Nystatin 300万単位/日 (TVN療法) を分3で経口投与し, 腸内細菌の変動について検討した.<BR>1) TVN療法において, 腸内細菌叢は全例が投与開始後1~2週間で糞便1g当り1×102以下に抑制され, 少なくとも4週間は続いた.<BR>2) 好気性菌にくらべて, 嫌気性菌の消失がやや遅延する傾向がみられた.<BR>3) TVN療法は1日3回投与でも, 従来の1日4回以上の投与と同様に腸内細菌叢を抑制し得ており, 特に問題はないと思われた.<BR>4) TVN療法施行中, 7例にCandidaが検出された.<BR>5) TobramycinおよびVancomycin服用後の血清・尿・便のそれぞれの濃度の測定結果より, 投与抗生物質の腸管からの吸収はごく微量であった.<BR>以上のように, TVN療法は充分に腸内細菌叢を抑制するが真菌は充分に抑制出来ず, 真菌の抑制が今後の問題であると考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 59 (12), 1198-1203, 1985

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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