<i>Stenotrophomonas maltophilia</i> 菌血症の危険因子と臨床的特徴: その他の非発酵菌菌血症との症例対照研究

  • 堀田 剛
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 松村 康史
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 加藤 果林
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 中野 哲志
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 柚木 知之
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 山本 正樹
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 長尾 美紀
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 伊藤 穣
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 高倉 俊二
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学
  • 一山 智
    京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学

書誌事項

タイトル別名
  • Risk Factors and Clinical Charasteristics of <i>Stenotrophomonas maltophilia</i> Bacteremia : A Comparison with Bacteremia Due to Other Glucose-non Fermenters
  • Stenotrophomonas maltophilia菌血症の危険因子と臨床的特徴 : その他の非発酵菌菌血症との症例対照研究
  • Stenotrophomonas maltophilia キンケッショウ ノ キケン インシ ト リンショウテキ トクチョウ : ソノタ ノ ヒハッコウキン キンケッショウ ト ノ ショウレイ タイショウ ケンキュウ

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抄録

Stenotrophomonas maltophilia(SM)は院内感染において重要な起炎菌であるが,様々な抗菌薬に対して耐性であるため初期治療がしばしば遅れる.そこで,当院における SM 菌血症(SM 群)とその他の非発酵菌菌血症(non-SM 群)の薬剤感受性と臨床背景および予後を比較し,さらに SM 群の予後因子を検討した.期間は 2005 年 1 月から 2012 年 9 月までで,後方視的に症例対照研究を行った.SM 群 54 例,non-SM 群 237 例であり,non-SM 群の内訳は緑膿菌が 156 例,Acinetobacter 属が 68 例,その他の非発酵菌が 13 例であった.薬剤感受性率は,SM 群では ST 合剤(82.0%),ミノサイクリン(100%)が良好であった.Non-SM 群では,メロペネム(88.6%),セフタジジム(88.6%),セフェピム(85.2%),アミカシン(97.0%)が良好な感受性率を示した.レボフロキサシンは,両群で感受性率が良好であった(SM 群87.5%,non-SM 群 82.0%). カルバペネム系抗菌薬と抗緑膿菌セファロスポリン系抗菌薬の使用歴および過去の SM 検出歴が独立した SM 菌血症発症の危険因子であった.30 日死亡率は SM 群で 35%であり,non-SM 群(18%)と比較し有意に高かった(オッズ比:2.2 95% 信頼区間:1.2~4.3,p=0.012).SM 群における 30 日死亡の独立した危険因子は,SOFA score のみであった. SM 菌血症は,non-SM 菌血症と比べると予後が悪いため,SM 菌血症のリスクが高い症例では,ST 合剤,ミノサイクリン,レボフロキサシンの追加を検討する必要がある.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 87 (5), 596-602, 2013

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (20)*注記

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