本邦における HIV 感染症患者ニューモシスチス肺炎治療・ 予防目的のアトバコン使用状況と副作用 ―厚生労働省エイズ治療薬研究班 1997 年~2012 年―

書誌事項

タイトル別名
  • Status of Use and Side Effects of Atovaquone for the Treatment and Prevention of Pneumocystis Pneumonia in HIV Infected Patients in Japan―from 1997 to 2012―The Clinical Study Group for AIDS Drugs, Supported by Health and Labor Science Grants from the Ministry of Health, Labor and Welfare, Japan
  • ホンポウ ニ オケル HIV カンセンショウ カンジャ ニューモシスチス ハイエン チリョウ ・ ヨボウ モクテキ ノ アトバコン シヨウ ジョウキョウ ト フクサヨウ : コウセイ ロウドウショウ エイズ チリョウヤク ケンキュウハン 1997ネン~2012ネン

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抄録

[目的]アトバコンは中等症以下のニューモシスチス肺炎(PCP)の治療及び PCP 予防に有効で忍容性が高いが本邦においては未承認薬剤であったことから,1997 年以降厚生労働省エイズ治療薬研究班が臨床研究の治療薬として供給してきた.本邦においてアトバコンが承認,販売されるにあたり,現在までのその使用状況と副作用について報告する.[方法]HIV 感染症患者のアトバコン使用状況と副作用などについて 1997 年 1 月から 2012 年 3 月までのエイズ治療薬研究班への申請書及び有害事象報告書をもとに後ろ向き調査を行った.[結果]調査期間内での新規申請症例数の合計は 721 例であった.新規申請症例数は年々増加し,特に近年の増加率は著しく高かった.副作用は 57 件 39 症例で報告された.最も多かったのは薬疹(20 件)であり,血球減少(11 件),発熱(10 件),肝障害(8 件)が次いだ.死亡は 2 例(関連不明 1 例,未記入 1 例)で認められた.肝障害の 1 例は重篤で,アトバコン投与 4 日目に AST 1,921IU/L,ALT 1,062IU/ L と高値を示したが,アトバコン中止にて改善傾向を認めた.その他にはアトバコンの関連が考えられる副作用としては重篤なものは認められなかった.[結論・考察]今回の研究においても諸外国同様に副作用の報告頻度は低く,また日本人特有と考えられるような副作用も認められなかった.しかし,頻度は低いが重篤な肝障害を合併した症例もあり,治療経過の注意深い観察は必要である.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 87 (4), 435-440, 2013

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (6)*注記

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