Toxic Shock Syndrome Toxin-1 (TSST-1) に対するヒト免疫グロブリン製剤による中和作用について

  • 中江 孝
    三菱ウェルファーマ株式会社蛋白医薬研究所
  • 平山 文博
    三菱ウェルファーマ株式会社蛋白医薬研究所
  • 橋本 元範
    三菱ウェルファーマ株式会社蛋白医薬研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Neutralizing Activity of Human Immunoglobulin Preparation Against Toxic Shock Syndrome Toxin-1
  • Toxic Shock Syndrome Toxi-1(TSST-1)に対するヒト免疫グロブリン製剤による中和作用について
  • Toxic Shock Syndrome Toxi 1 TSST 1 ニ タイスル ヒト メンエキ グロブリン セイザイ ニ ヨル チュウワ サヨウ ニ ツイテ

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抄録

静注用ヒト免疫グロブリン (human immnoglobulin, 以下IVIG) 製剤は, 多種多様な抗原に対する抗体を含んでおり, 重症感染症や自己免疫疾患などの治療薬として使用されている. しかし, それぞれの疾患において, どのような抗体が関与しているかについての作用機序はよくわかっていない. Toxic Shock Syndrome Toxin-1 (TSST-1) はstaphylococcus aureusが産生する毒素であり, スーパー抗原としてT細胞を活性化することにより, 炎症性サイトカインの産生を介して, Toxic shock syndrome (TSS) を引き起こすと考えられる. 我々は, IVIG製剤からTSST-1をリガンドとして抗TSST-1抗体をアフィニティ精製し, TSSに対する抑制作用を検討した.<BR>TSST.1産生性のメチシリン耐性S.aureus株 (MRSA 1945) をICR系マウスの皮下に接種した膿瘍モデルにおいて, 2週間にわたり膿瘍中及び血液中にTSST-1産生が持続した. 本モデルに, 抗TSST-1抗体を静脈内投与することにより, 血液中のTSST-1量は用量依存的に低下した. 次に, 致死性の実験的ウサギTSSモデルでは, ヒト免疫グロブリン製剤から分離した抗TSST-1抗体を投与した場合の効果について検証を行った. NZW系ウサギに抗TSST-1抗体と直後にTSST-1 (1μg/kg), 4時間後にLPS (10μg/kg) をそれぞれ静脈内に投与した. 対照としたヒト血清アルブミン投与群の生存率は0% (0/5) であったのに対して, 抗TSST-1抗体 (1mg/kg) を投与した場合は80% (4/5) であり, TSST-1の中和作用による救命効果が認められた. 以上のことから, IVIG製剤はTSST-1中和抗体を含み, MRSA感染症におけるTSS発症を抑制する可能性が考えられる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 76 (3), 195-202, 2002

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (14)*注記

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参考文献 (19)*注記

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