B群溶血連鎖球菌の血清型と病原性に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of Group B <I>Streptococcus</I> with Special Reference to the Relationship Between Serological Type and Virulence
  • Bグン ヨウケツ レンサ キュウキン ノ ケツセイガタ ト ビョウゲンセイ ニ
  • A Study of Group B Streptococcus with Special Reference to the Relationship Between Serological Type and Virulence

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抄録

近年増加している新生児, 乳児における敗血症, 髄膜炎の原因であるB群溶血連鎖球菌 (B群菌) の菌型分布を示し, 菌型と病原性との関連を検討する目的で, マウス脳内接種法 (i. c. 法) を応用し, 次の結果を得た.<BR>1976年より1982年までに本教室で同定した敗血症, 髄膜炎或いはそれらの合併した症例から分離, 同定されたB群菌を型別にみると64.5%が多糖体111をもつ111型と111R型, 29.1%が多糖体1aをもつ1a型と1c型であり, 多糖体1aをもつ菌型での致命率は50%であり, 他の菌型に比較して有意に高い結果を示した.<BR>病原性を検討する目的で従来百日咳の盛染防禦実験で用いられているマウス脳内接種法 (i. c.法) を応用した. 18時間Todd-Hewitt Brothに培養した菌体を遠心沈澱し, 減菌生理食塩液に再浮遊し段階稀釈を行ないその0.025mlを脳内に接種し, 7日間のマウスの死亡 (一部発症) を観察した. その結果a) 型多糖体をもつ菌株では攻撃菌量と死亡 (一部発症) の間に容量反応関係が成立する. b) 攻撃菌量の差により死亡時期に差が存在する. c) 菌型 (菌株) 間の毒力の差が再現性をもってみられる. d) 抗体価の充分に上昇した免疫血清を用いpassive immunizationが成立する. 等i. c. 法の有用性が示された.<BR>多糖体1aをもつ菌株では, 採取材料, 診断を問わずi. c. 法において強い毒力を示しており, 又, マウス血中への菌の移行も他菌型に比較すると圧倒的に多く, この菌型の浸淫の強さ或いは人に対する病原性の強さを裏づける結果であった.<BR>又, 蛋白質1bcのみをもつ菌株では強い毒力はみられず, 従来より言われている型多糖体による病原性を確認した.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 58 (5), 376-384, 1984

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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