透析患者における食細胞の活性酸素放出能の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Production of Oxygen Free Radicals by Phagocytes in Patients on Hemodialysis

抄録

透析患者の易感染性を調べる目的で, 同患者の食細胞の活性酸素放出能をChemiluminescence (以下CLと略す) を測定することにより検討した.<BR>(1) 透析患者の全血CLは, ルミノールおよびルシゲニンを発光物質として粒子状刺激物であるザイモザン, Staphylococcus aureus (Saunus) 209Pや可溶性刺激物であるPhorbol myristate acetate (PMA) で刺激した場合, 健康成人に比較して有意に高いCL反応を示したが (p<0.01), 分離好中球を用いたCLでは, 有意ではないが健康成人よりもやや低いCL反応を示した.<BR>また, 透析前後でのCLの比較では, 透析後のCLが高値を取る傾向が見られた.<BR>(2) 全血CL活性の充進の原因を調べるために, 患者血清因子について検討したところ・血清補体値・免疫グロブリン値などのオプソニン因子は健康成人との間に有意差は認めなかった. しかし, 健康成人の好中球に, 健康成人の血清を加えたCLよりも患者血清を加えたCL活性の方が高いことや・透析前より後の血清の方がCL増強効果が高いことより, 患者血清中にはCL増強因子が存在することが推測された. また, 赤血球存在下では好中球のCL活性が抑制されることより, 透析患者に見られる全血CL増強の一因には, 血清中のCL増強因子の他に試料中の赤血球数の減少 (貧血) の関与も考えられた・尿素・クレアチニンは透析患者に見られる血中濃度レベルではCL活性に影響を与えなかった.<BR>(3) 好中球内の活性酸素放出能を評価できるルミスフェアーを用いた患者好中球CLは, 健康成人と比較してやや低下しており, ザイモザン, S. aureus 209Pを用いた場合と同様であった.<BR>(4) cefbuperazone, cefminox, latamoxefの1/4MIC濃度中で3時間処理されたKlebsiella pneumonne (K. pneumoniae) 163株は, 未処理菌で刺激した場合より患者全血CLを有意に高め (p<0.01), 同時にピークに至る時間も短縮しており (p<0.01), 患者食細胞 (好中球) とセファマイシン系抗生剤の間に抗菌作用を介しての協力殺菌作用の存在が示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 63 (9), 997-1006, 1989

    一般社団法人 日本感染症学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680026892672
  • NII論文ID
    130004329568
  • DOI
    10.11150/kansenshogakuzasshi1970.63.997
  • ISSN
    1884569X
    03875911
  • PubMed
    2509599
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • PubMed
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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