小児の溶連菌感染疾患におけるAnti-streptococcal esterase (ASE) とASOについて

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タイトル別名
  • Anti-Streptococcal Esterase (ASE) and ASO in Streptococcal Infection of Children
  • ショウニ ノ ヨウレンキン カンセン シッカン ニ オケル Anti stre

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説明

新たに開発された酵素抗原を利用しての血中esteraseの抗体価測定用溶連菌感染症診断薬 (大日本製薬製・ASEキット) で小児期各種溶連菌感染疾患におけるAnti-streptococcal esterase (ASE) を測定し, 従来からのASOとの比較を行った.対象は2歳から14歳までの血管性紫斑病 (HSP), 急性糸球体腎炎 (AGN), 猩紅熱, リウマチ熱, リウマチ性心臓病, 扁桃炎など107検体で, このうち94検体ではASOも測定した. 正常対象照群は0歳から14歳までの621例で, その測定結果からASE正常値上限を300ASE単位とした. HSP急性期, 回復期, AGN, リウマチ熱, リウマチ性心臓病でのASEとASOの陽性率に大きな差はなく, 一致率は66.7%~91.6%であった. 猩紅熱では経過中ASOが全例正常域に留ったにも拘らずASEは急性期すでに陽性のものや, 回復期に陽性化するものがあり, しかも経時的測定では感染後1~2週で抗体価の有意な上昇が認められた. 本キットは従来のASOやADN-Bなどとは全く異った新しい方法で, 再現性が高く, 高感度で微量の抗体でも検出が可能なため, 今日のように抗生剤の早期からの投与のための血清診断が困難になってきた溶連菌感染疾患の診断に有用と思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 57 (9), 771-775, 1983

    一般社団法人 日本感染症学会

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