ヒトアストロウイルスの年齢別抗体調査

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タイトル別名
  • Antibody Prevalence against Astrovirus According to Age Groups
  • ヒトアストロウイルス ノ ネンレイ ベツ コウタイ チョウサ

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抄録

1992年から1998年までに, 東京と埼玉の4病院で採取された血清を用いて, 小児期から成人期, 老人期にわたるヒトアストロウイルス1型 (HAstV-1) と2型 (HAstV-2) の年齢別抗体保有率, および特異的IgG抗体価を調べた. その結果, 1型2型ともに, 生後2カ月までは母体からの移行抗体の存在と考えられる比較的高い抗体保有率および抗体価を示したが, 3~5カ月では抗体保有率, 平均抗体価ともに最低値に達した. その後, 自然感染による抗体獲得を反映してか, 加齢に伴う再上昇を示し, 3歳以上の年齢群では, 両血清型に対しほぼ100%の抗体保有率を示すようになった. また, 特異的IgG抗体の平均抗体価も年齢があがるにつれて高値を示し, 成人群および老人群では小児に比して高値であった. 特に血清型1では老人群の抗体保有率および抗体価は他の年齢群に比して高値であり, HAstVの施設内感染の可能性が示唆された. また, HAstVの流行期と考えられる1~6月に採取された検体と, 非流行期と考えられる7-12月に採取された検体とに分けて抗体価を検討したところ, 2型では流行期と考えられる冬期で, より若い年齢群での抗体. 上昇が指摘された. 一方, 1型でも同様の傾向はみられたが, 統計学的には有意差は指摘されなかった. 以上より, HAstVの感染は従来考えられていたよりも普遍的におこっており, 初感染の多くは乳児期, 主に6~11カ月の年齢群で起こっていることが示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 73 (6), 578-583, 1999

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (11)*注記

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