金コロイドを用いた新規イムノクロマト法による便中ノロウイルス検出試薬の有用性

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タイトル別名
  • Usefulness of a Newly Developed Immunochromatographic Assay Kit for the Detection of Norovirus in Stool Specimens
  • キン コロイド オ モチイタ シンキ イムノクロマトホウ ニ ヨル ベン チュウ ノロウイルス ケンシュツ シヤク ノ ユウヨウセイ

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抄録

2008 年~2011 年の 3 シーズンにかけて採取された便検体について,金コロイドを使用した新規イムノクロマト法試薬イムノキャッチ―ノロ (栄研化学)(IC-A 法) におけるノロウイルス検出の有用性を検討した.RT-PCR 法および PCR 産物のダイレクトシークエンスにより,316 検体中 198 検体 (62.7%) がノロウイルス陽性であり,9 genotype(G I/2,4,8,G II/1,2,3,4,6,13) が検出された.検出数では,G II/3 が64 例,G II/2 が 59 例,G II/4 が 58 例と全体の約 90%を占めた.RT-PCR 法に対する IC-A 法の陽性一致率,陰性一致率,全体一致率はそれぞれ 87.4% (173/198),100% (118/118),92.1% (291/316) であった.25 例の偽陰性が認められたが,偽陽性と判断される検体はなかった.一方,比較に用いた市販イムノクロマト法試薬 (IC-B 法)の RT-PCR 法に対する陽性一致率,陰性一致率,全体一致率はそれぞれ 59.6%(118/198),96.6%(114/118),73.4%(232/316) で,80 例が偽陰性,4 例が偽陽性と判定された.RT-PCR 法の結果と一致した陽性の 118 例は,すべて IC-A 法でも陽性であった.比較的例数の多い genotype である G II/2,3,4 に関する検出率は,IC-A 法では各々88.1%,87.5%,89.7%,IC-B 法では各々 32.2%,67.2%, 81.0% であった. IC-A 法は,適用検体は糞便に限られるが,比較的幅広い genotype に対して感度・特異性が高く,ノロウイルス感染症の迅速診断法として有用と考える.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 87 (1), 27-32, 2013

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (26)*注記

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