日本人の三日熱マラリア・卵形マラリア症例に対するプリマキンの使用経験

  • 小林 泰一郎
    国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
  • 加藤 康幸
    国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
  • 山内 悠子
    国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
  • 氏家 無限
    国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
  • 竹下 望
    国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
  • 水野 泰孝
    国立国際医療研究センター病院国際感染症センター 現 東京医科大学病院感染制御部
  • 金川 修造
    国立国際医療研究センター病院国際感染症センター
  • 狩野 繁之
    国立国際医療研究センター研究所熱帯医学・マラリア研究部
  • 大曲 貴夫
    国立国際医療研究センター病院国際感染症センター

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Experience of Primaquine Use for Treatment of Vivax and Ovale Malaria in Japanese Travelers
  • ニホンジン ノ ミッカ ネツ マラリア ・ ランケイ マラリア ショウレイ ニ タイスル プリマキン ノ シヨウ ケイケン

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抄録

リン酸プリマキンは,三日熱マラリアと卵形マラリアの再発を予防するための根治療法薬であるが,近年,世界各地でプリマキンを標準量 (15mg 塩基/日,14 日間) 投与後に再発した三日熱マラリアが報告されている.投与量を増やすことで再発率は減少するが,諸外国のガイドラインとは異なり,我が国では,東南アジアとパプアニューギニアで感染した三日熱マラリアにのみ,高用量 (30mg 塩基/日,14 日間) のプリマキンの投与が推奨されている. 2007 年から 2011 年に,国立国際医療研究センター病院において,プリマキンによる根治療法を行った日本人 18 例 (三日熱マラリア 13 例,卵形マラリア 5 例) を,診療録を用いて後方視的に検討した.ブラジルで感染した三日熱マラリア 1 例で,標準量のプリマキン投与後に再発していたが,卵形マラリアでは再発は見られなかった.また,高用量を使用した 10 例を含む全例で副作用を認めなかった. 三日熱マラリアの根治療法としてプリマキンを標準量投与した後の再発は,東南アジアとパプアニューギニア以外の地域でも報告されている.高用量で増加するとされる消化器系の副作用が,食後内服により忍容可能で,日本人の G6PD 異常症が非常に稀であることも併せて考えると,高用量を用いることで生じ得る副作用よりも,再発率減少の有益性の方が優ると考えられる.日本人の三日熱マラリアにおいても,渡航先に関わらず高用量のプリマキンが適切と考えられる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 87 (1), 22-26, 2013

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (32)*注記

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