乳幼児および成人におけるHBワクチン接種成績の長期観察

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タイトル別名
  • Long Term Observation for Immunogenecity of Hepatitis B Vaccine in Infants and Adults
  • ニュウヨウジ オヨビ セイジン ニ オケル HB ワクチン セッシュ セイセキ

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抄録

HBワクチンによるHBs抗体反応の持続についての検討は未だ少ない. この為, 著者らは3社4種類のワクチンを乳幼児261例および成人264例の計525例 (男子198, 女子327例) に接種し, 最長36カ月に亘ってHBs抗体反応を調査した.<BR>HBs抗原, HBs抗体およびHBc抗体が陰性の例を対象とし, いずれのマーカーもRIA法を用いて測定し, HBs抗体価はPHA法にて測定した. 採血は主として接種前, 接種後1, 6, 9, 19ヵ月に, 一部36ヵ月まで行った. HBワクチンは乳幼児には10μgを, 成人には20μgを初回, 1, 6ヵ月に3回接種した. 乳幼児で13ヵ月までに陽転しなかった24例に4回目, さらに24ヵ月にHBs抗体が陰性であった22例に, 4あるいは5回目の追加接種を行った.<BR>9ヵ月 (3回接種後) でHBs抗体陽転率は83.5%, 抗体価は2 7.2倍であったが, 19ヵ月で76.2%, 25お倍と低下し, 36ヵ月まで観察できた例では60.9%, 25倍とさらに低下していた. 全経過を通じて女子が男子より高い陽転率を示した. 年齢別では4-5歳, 20歳代および30歳代で高く, 50歳以上に低い傾向を示した. また追加接種を行った例では, 36ヵ月で25例中11例 (再陽転5例), 44%が陽転していた.<BR>HBs抗原およびHBc抗体が陽性となった例はなく, 副反応も軽度であり, HBワクチンは安全かつ有用と考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 60 (7), 659-665, 1986

    一般社団法人 日本感染症学会

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