血液疾患患者にみられた緑膿菌菌血症

  • 舟田 久
    金沢大学医学部付属病院高密度無菌治療部・第3内科
  • 真智 俊彦
    金沢大学医学部付属病院高密度無菌治療部・第3内科
  • 松田 保
    金沢大学医学部付属病院高密度無菌治療部・第3内科

書誌事項

タイトル別名
  • Pseudomonas aeruginosa Bacteremia Associated with Hematologic Disorders
  • 血液疾患患者にみられた緑膿菌菌血症-2-血中分離菌株と監視培養からの検討
  • ケツエキ シッカン カンジャ ニ ミラレタ リョクノウキン キンケッショウ 2
  • [II] Blood Culture Isolates and Surveillance Cultures
  • [II] 血中分離菌株と監視培養からの検討

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説明

過去16年間に, 同一病棟で治療された急性白血病などの血液疾患の55例に, 57回の緑膿菌菌血症が経験された. 血中から分離された緑膿菌の57菌株は9血清群に分布した. このうちの4血清群が全体の74%を占めた. 特定の血清群による病棟内流行が相次いでみられた. 入院時の監視培養から緑膿菌の分離された症例は11%にすぎなかった. 入院後の緑膿菌の獲得は, 他の感染症や感染を疑わせる発熱のための抗菌薬投与と関連してみられた. 症例の75%では, 原因菌と同一の菌が発症時ないし発症に先駆けて咽頭や便の監視培養から検出されていた. 一方, 症例の60%は, 原因菌に有効な抗菌薬が少なくとも1剤投与されているなかでの発症 (“breakthrough” bacteremia) であった. 5例では, 原因菌に有効な抗緑膿菌性ペニシリン薬とアミノ配糖体薬の併用が行われていたにもかかわらず発症した. このように, 血液疾患に合併する緑膿菌菌血症の対策を考えるうえで, 監視培養の有用性が強調されるだけでなく,“breakthrough” bacteremiaに対する注意も必要であることが示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 63 (8), 874-879, 1989

    一般社団法人 日本感染症学会

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