当院における<i>Helicobacter cinaedi</i>(<i>H. cinaedi</i>)分離例の 臨床的・細菌学的検討

  • 川上 洋子
    国立病院機構熊本医療センター臨床検査科 国立病院機構九州がんセンター臨床検査科

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical and Bacteriological Examination in Hospital of <i>Helicobacter cinaedi </i>(<i>H. cinaedi</i>)
  • 当院におけるHelicobacter cinaedi (H. cinaedi)分離例の臨床的・細菌学的検討
  • トウ イン ニ オケル Helicobacter cinaedi (H. cinaedi)ブンリレイ ノ リンショウテキ ・ サイキンガクテキ ケントウ

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説明

国立病院機構九州がんセンターにおいて2009 年9 月より血液培養からのHelicobacter cinaedi の分離例が増加した.増加した原因を調査する目的で分離症例について検討を行った.対象は2009 年9 月~2010 年3 月に,H. cinaedi が分離された血液培養24 症例(45 株),胸水1 症例(1 株)とした.患者背景は化学療法歴が44 株,ステロイド使用歴が42 株にみられた.臨床症状では発熱を示した43 株,消化器症状を示した 4 株,皮膚症状を示した8 株であった.血液培養の症例は全て好気用ボトルから分離され,血液培養陽性まで平均4.1 日±1.60 であった.25 症例中14 症例(56%)の患者からH. cinaedi が再分離された.この14 症例について検討を行った結果,患者背景,臨床症状,化学療法歴,ステロイド使用歴との間では有意差を認めなられなかったが,キノロン系抗菌薬との間に有意差(p=0.0018)が認められた.当センターのように悪性腫瘍を基礎疾患に有する患者が多い施設にとって,H. cinaedi 感染症は化学療法のサイクルごとに再分離を繰り返しうる感染症であり,有効な治療法が確立しておらず,治療期間の延長をもたらす可能性も示唆される.また,H. cinaedi が疑われる場合,血液培養時間の延長や培養条件の設定が重要であり,医療施設で実施可能である迅速な検出・同定方法の開発が望まれる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 88 (4), 417-422, 2014

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (10)*注記

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