原発性膀胱尿管逆流症に対する内視鏡下三角部形成術II

書誌事項

タイトル別名
  • ENDOSCOPIC TRIGONOPLASTY II FOR PRIMARY VESICO-URETERAL REFLUX
  • 原発性膀胱尿管逆流症に対する内視鏡下三角部形成術2
  • ゲンパツセイ ボウコウ ニョウカン ギャクリュウショウ ニ タイスル ナイシキョウ カ サン カクブ ケイセイジュツ 2

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抄録

(目的) われわれは, 内視鏡的三角部形成術に代わる低侵襲性逆流防止手術として2000年に折笠法を内視鏡手術にアレンジした内視鏡的三角部形成術II (ET II) を開発した. この手技と治療成績を報告しその有用性を検討した.<br>(対象と方法) 2000年5月より2002年8月まで, 成人9例 (18~64歳, 平均34.1歳) と小児 (5~14歳平均9.3歳) の6例に施行した. 全例女性で逆流は23尿管であった. 逆流のグレードは国際分類で1:5, II:2, III:14, IV:2尿管であった. 手術手技は膀胱内に2本の5mmトロカーを設置, 膀胱を灌流しながら切除鏡を用いて膀胱粘膜と筋層を切開し, 尿管を含む2~3cmの膀胱U字フラップを作成する. 次に気膀胱の状態にし, 切開した膀胱筋層を尿道より挿入した持針器で縫合し尿管のベッドを作成, 尿管先端を膀胱全層と2針アンカー縫合し, U字フラップと膀胱切開面の粘膜縫合を4針行うものである. 尿道カテーテルを留置し手術は終了する. 最近の4例では膀胱穿刺創を内視鏡的に閉鎖した.<br>(結果) 1尿管あたりの手術時間は平均144分であった. 片側逆流の1例の患者で出血のため開腹術に移行した. 術後の逆流消失率は, 3ヵ月で82% (18/22尿管), 1年では86% (19/22尿管) であった. 尿管損傷が経尿道的膀胱切開中に3名に生じた. そのうち2名はダブルJステントを留置して修復したが, 12ヵ月後1名に逆流が再発した. 他の1名では, 膀胱鏡で尿管損傷の部位に膀胱尿管瘻が見つかり, 後に Politano-Leadbetter 法を開放手術で施行し逆流は消失した. 内視鏡的に膀胱穿刺創を閉鎖することで尿道カテーテルの留置期間は平均4.3日から3日に短縮された.<br>(結論) 逆流消失率について, ET IIは開放手術や腹腔鏡下逆流防止術よりやや劣ったものであった. 尿管損傷等の合併症も多く, 膀胱尿管逆流症に対して, ET IIは勧められる手術方法ではない.

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