• 井上 幸恵
    クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社医療アセスメント研究部
  • 小林 慎
    クレコンリサーチ&コンサルティング株式会社医療アセスメント研究部
  • 菅谷 公男
    琉球大学医学部器官病態医科学講座泌尿器科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • ECONOMIC IMPACT OF OVERACTIVE BLADDER SYMPTOMS IN JAPAN
  • カカツドウ ボウコウ ノ イリョウ ケイザイ

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説明

(目的) 過活動膀胱 (OAB) によりもたらされている経済負担を推計する.<br>(対象・方法) 国内外で報告されたOAB, 尿失禁の疫学, 経済負担に関する文献を基に, わが国のOAB関連費用を推計した. 分析対象は地域在住の40歳以上男女とし, OAB治療費用, 直接費用 (OAB併存疾患治療費, 尿失禁関連費), 間接費用 (労働損失費用) を推計対象項目とした. また現状の受診率22.7%が35%,50%に向上した場合のOAB関連費用の削減額を推計した.<br>(結果) 40歳以上の日本人OAB有症者数は856万人, そのうち医療機関受診患者は198万人と推計された. OAB関連総費用は年間9,562億円発生しており, 治療の有無にかかわらず有症者一人あたり11.2万円と推計された. OAB関連費用の内訳は, OAB治療費1,809億円 (19%) (うち薬物治療費1,591億円), OAB併存疾患治療費620億円 (6%), 尿失禁関連費用287億円 (3%), 労働損失6,846億円 (72%) であり, 労働損失が最も大きな割合を占めていた. 受診率が35%,50%に向上したと仮定した場合の費用削減額は927億円, 2,058億円で, 新規受診患者一人あたり8.8万円と推計された.<br>(結論) 本研究により, OABが大きな経済的損失を生じていることが明白となり, OAB有症者に対する適切な治療によりこれらの費用を十分に削減できることが推測された.

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被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (43)*注記

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