二分脊椎症の膀胱尿管逆流と尿失禁

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タイトル別名
  • VESICOURETERAL REFLUX AND URINARY INCONTINENCE IN MYELODYSPLASTIC PATIENTS
  • A Comparison between those Who had Anti-Reflux Surgery Alone and those Who were Treated by Anti-Reflux Surgery Combined with Bladder Augmentation with or without Sling Operation
  • 逆流根治術単独群と逆流根治術, 膀胱拡大術, スリング手術併用群との比較

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抄録

(背景と目的) 二分脊椎症での膀胱尿管逆流と尿失禁の発生率は高度である. これらに対する手術成績を逆流根治術 (クロスオーバー法) のみで治療した群 (単独群) と逆流根治術 (折笠法) と膀胱拡大術を併用した群 (併用群) の2群に分け後ろ向きに解析した.<br>(対象と方法) 単独群は17例, 併用群は21例で, 後者の11名は膀胱頚部スリング手術も同時に受けた. 逆流消失率, 膀胱容量, 膀胱コンプライアンス, 手術合併症, 腎機能を比較検討した. また, 郵送アンケート法により自覚的評価を調査した.<br>(結果) 逆流消失率は単独群79%及び併用群86%で統計的有意差はなかった. 膀胱容量と膀胱コンプライアンスは, 併用群では著明に改善したが, 単独群では僅かにしか改善しなかった. 手術合併症は単独群では尿管閉塞が1例, 併用群では脳室腹腔シャントの再手術4例, 不全イレウス3例, 膀胱結石1例であった. 総腎機能が低下したのは単独群のみであった. アンケート調査の結果では腎盂炎の頻度は併用群で単独群より少なかったが, 現在の導尿回数, 尿失禁の程度, 尿失禁量の変化, 手術満足度に対する自覚的評価では2群間で差は認めなかった.<br>(結論) 手術合併症が併用群でより多く発生したが, 膀胱容量と膀胱コンプライアンスの改善は有意に優れていた. 二分脊椎症患者の逆流, 尿失禁の改善に保存的治療が無効なら逆流防止術と膀胱拡大術とスリング手術を含む手術療法を積極的に施行することの重要性が示唆された.

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参考文献 (20)*注記

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