腎腫瘍内毛細血管の微細構造

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  • ELECTRON MICROSCOPIC STUDY OF CAPILLARY IN THE HUMAN RENAL CELL CARCINOMA

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(背景と目的) 本研究はヒト腎細胞癌における腫瘍内毛細血管の微細構造を観察し形態的特徴を検討した.<br>(対象と方法) 30例の腎細胞癌患者から得られた腫瘍組織についてヘマトキシリン・エオジン染色およびα-アクチン染色を行い光学顕微鏡にて観察した. また, 酢酸ウラン・硝酸鉛二重染色および periodic acid thiosemicarbazide gelatin methenamine silver 染色を行い透過型電子顕微鏡を用いて観察した.<br>(結果) 正常腎組織において, 毛細血管は光顕的に尿細管壁周囲に束状に見られるのに対し, 腎癌組織内では集簇的にあるいは点在性に観察された. α-アクチン染色によって陽性を示す周皮細胞は正常毛細血管に比較して腎癌組織では集簇して増生している傾向を示した. 電子顕微鏡的観察において, 腫瘍内毛細血管の特徴は内皮細胞の有窓構造が未発達であるほか, 周皮細胞に多数の細胞突起が観察された. また, 基底膜が多層性を示すなどの多様性がみられた. われわれは特に周皮細胞の細胞突起に着目して, 多く存在するもの (I型) と突起構造の乏しいもの (II型) の2型に分類して検討した. 総計324血管を電顕的に分析した結果, 多血管性症例ではI型が, 乏血管性症例ではII型がそれぞれ優位であった.<br>(結論) 周皮細胞の多様な微細構造は正常組織と腎癌組織内の血管における質的相違をあらわしているものと思われる.

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