低用量CVD化学療法が tumor dormancy therapy として有効であった副腎外悪性褐色細胞腫の1例

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タイトル別名
  • LOW DOSE CVD CHEMOTHERAPY AS A TUMOR DORMANCY THERAPY FOR EXTRA-ADRENAL MALIGNANT PHEOCHROMOCYTOMA
  • A CASE REPORT

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説明

症例は, 38歳男性. 16歳の頃より高血圧を指摘されるも放置していた. 検診の超音波検査にて上腹部腫瘍を発見されたことから精査を受け, CTでは上腹部大動静脈間に径8×8cmの腫瘍の他に, 大動脈分岐部に4×4cmの腫瘍が認められた. 血中ノルアドレナリンと尿中VMAの高値, 及びMIBGシンチグラムにて上記腫瘍の他, 胸椎に集積像が認められ, 悪性褐色細胞腫を疑われ, 当科紹介となった. 画像診断上副腎には異常を認めないこと, 開放生検での病理所見及びMRIでの胸椎破壊像から, 転移性副腎外悪性褐色細胞腫と診断した. 化学療法としてCYVADIC療法を2コース施行したが, 原発巣, 転移巣共に腫瘍径に変化無く, 高血圧の改善も十分ではなく, Grade 3の白血球減少を認めた. そこで化学療法の目的を根治的から姑息的に変更し, CVD療法を標準的投与量の60%量とし通院にて月一度の間隔で投与した. 4コース終了後には血圧が正常化し, 降圧剤投与を中止した. これまで3年半の間に計36コース施行し, 腹部CT上腫瘍径に変化を認めないが, 血中ドーパミン値はほぼ正常化, ノルアドレナリン値は低下, また胸椎転移による腰背部痛も消失した. また, 副作用として, 便秘, 化学療法当日の全身倦怠感を認めるも骨髄抑制に高度なものはなく, 現在も通院治療にて社会復帰を続けている. 今後も同様に治療継続の予定である.

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