出生前診断された先天性後部尿道弁症例の周産期管理

  • 島田 憲次
    大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
  • 細川 尚三
    大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
  • 松本 富美
    大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
  • 松本 成史
    大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科
  • 鈴木 万里
    大阪府立母子保健総合医療センター泌尿器科

書誌事項

タイトル別名
  • PERINATAL MANAGEMENT OF POSTERIOR URETHRAL VALVES DETECTED BY PRENATAL ULTRASONOGRAPHY

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説明

(背景と目的) 先天性後部尿道弁 (PUV) の病態にはさまざまな程度があり, 一般に通過障害が高度なものほど臨床症状も重篤で, 早期に発見されている. 出生前超音波診断の進歩に伴い, 胎児診断されるPUV症例が散見されるようになり, その臨床経過に興味がもたれている. 今回は出生前診断されたPUV症例の周産期管理と臨床経過について報告する.<br>(対象と方法) 1987年4月から1996年12月までに出生前超音波検査で発見され, 当センターで周産期管理が加えられたPUV6例を対象とした. 全例 Young I型であった. 胎児水腎症は在胎 (GA) 26週から29週にかけて指摘され, それより数日から7週遅れて羊水過小に気付かれた. 複数科による胎児カンファランスで方針が検討され, 5例に在胎30週前後での早期娩出が選択された. 出生後は血清Crがモニターされ, 上部尿路ドレナジーを加えるか否かが検討された.<br>(結果) 呼吸機能をみると, 1例では出生時に肺低形成のため死亡した. 3例では数日間の人工呼吸を要した. 上部尿路変更術が必要となった1例では早期から末期腎不全となったが, 他の4例では1歳までの nadir Scは0.4-0.6mgと腎機能は順調に改善した. 経尿道的弁切開術は生後16日から40日目に加えられた. 膀胱機能は出生直後は高圧・低容量であったが, 弁切開術と oxybutynine 投与により改善がみられた.<br>(結論) 出生前に発見されるPUVに対しては, 児の肺機能と腎機能とを評価しながらその出生時期と出生後の緊急処置を決定する必要がある. 羊水過少を伴うPUVに対する早期娩出・早期治療により, 腎機能と膀胱機能に良好な成績が得られたことは, 重症PUVに対する治療にとって大きな進歩である.

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参考文献 (24)*注記

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